top of page

谷野裕一

​谷野メディカルアソシエイツ代表

日本乳癌学会 乳腺専門医・指導医

​公立那賀病院 乳腺外科 非常勤医師

神戸大学医学部附属病院 乳腺内分泌外科

 元特命教授 元診療科長

  • Facebook
  • Twitter
2019たにの.png
昭和38年 和歌山市生まれ 
【資格・免許

昭和62年6月 医師免許取得

平成3年12月 日本外科学会認定医

平成10年2月 日本乳癌学会 乳腺認定医

平成10年5月 博士(医学)

平成14年1月 日本乳癌学会 乳腺専門医

平成30年9月 マンモグラフィ読影医(現在A認定)

令和2年1月 日本乳癌学会 乳腺指導医

【学歴】

昭和62年 3月 和歌山県立医科大学 医学部 医学科卒業 医学士

昭和62年 6月 医師免許(医籍登録 第311152号)

平成10年 5月 博士(医学)(和歌山県立医科大学 第乙635号)
論文題目「新規アロマターゼ阻害剤の乳癌内分泌療法における前臨床試験とその実験モデルに関する研究」

​【職歴】

昭和62年 4月 和歌山県立医科大学附属病院診療医(平成1年3月まで)

平成1年 4月 和歌山県立医科大学附属病院臨床研究医(平成3年4月まで)

平成3年 5月 関東医療少年院法務医官(平成5年9月まで)

平成3年 5月 慶應義塾大学医学部消化器一般外科学教室共同研究医(平成5年4月まで)

平成5年 5月 和歌山県立医科大学附属病院臨床研究医(平成7年3月まで)

平成7年 4月 和歌山県立医科大学研究生(甲)(外科学第一)(平成9年3月まで)

平成9年 4月 和歌山県立医科大学臨床2外科学第1講座助手(平成11年3月まで)

平成10年 4月 米国メリーランド州立大学医学部薬理学教室 postdoctral fellow(平成12年4月まで)

平成12年 5月 和歌山県立医科大学臨床2外科学第1講座助手採用(平成13年12月まで)

平成14年 1月 公立那賀病院呼吸器外科医員         (平成16年3月まで)

平成16年 4月 岸和田徳洲会病院乳腺科部長          (平成18年5月まで)

平成18年 6月 橋本市民病院乳腺呼吸器外科部長      (平成20年3月まで)

平成20年 4月 公立那賀病院乳腺外科科長           (平成24年12月まで)

平成25年 1月 北里大学医学部外科学講師           (平成25年11月まで)

平成25年12月 北里大学病院 乳腺・内分泌外科 科長代理(平成26年3月まで)

平成26年 2月 北里大学病院 乳腺・甲状腺外科 診療准教授(平成26年9月まで)

平成26年 4月 北里大学病院 乳腺・甲状腺外科 科長   (平成28年12月まで)

平成26年10月 北里大学医学部外科学准教授           (平成28年12月まで)

平成19年 1月 神戸大学医学部附属病院 乳腺内分泌外科 特命准教授(平成30年7月まで)

平成30年 9月 神戸大学大学院医学研究科先進的がん医療・研究推進学部門 特命教授(令和3年12月まで)

平成30年 8月 神戸大学医学部附属国際がん医療・研究センター副センター長(令和3年12月まで)

令和4年 1月 和歌山県立医科大学附属病院臨床研究センター、第一外科兼任、准教授

令和4年 11月 和歌山県立医科大学附属病院臨床研究センター​ 病院教授(令和5年3月まで)

令和5年 4月 公立那賀病院 乳腺外科 非常勤医師

【学会活動】

昭和62年 6月 日本外科学会入会(現在に至る)

平成 3年12月 日本乳癌学会入会(現在に至る)

平成 4年10月 日本癌治療学会入会(現在に至る)

平成16年 7月 日本臨床腫瘍学会入会(現在に至る)

平成16年 6月 日本乳癌学会評議員(平成22年5月まで、平成26年6月~令和4年3月まで)

平成20年10月 日本乳癌学会医療安全委員会(平成24年9月まで)

平成23年10月 日本乳癌学会施設認定委員会近畿地区委員(平成25年9月まで)

平成20年10月 日本乳癌学会医療安全委員会(平成24年9月まで)

平成23年10月 日本乳癌学会施設認定委員会近畿地区委員(平成25年9月まで)

平成29年12月 日本癌治療学会学術集会運営委員(現在に至る)

平成29年12月 日本癌治療学会社会連携・PALプログラムWG委員(現在に至る)

社会活動】

平成22年 8月 NPO法人いきいき和歌山がんサポート理事長(現在に至る)

平成29年 4月 NPO法人西日本がん研究機構乳がんグループ副リーダー(現在に至る)

平成31年 4月 NPO法人西日本がん研究機構理事(現在に至る)

令和 3年 3月 がんプロフェッショナル養成プラン、中四国10大学が連携した「全人的医療を行う高度がん専門医療人養成」コースにおける徳島大学の4年間の活動に対する外部評価委員(現在に至る)

令和 3年 8月 医療事故調査・支援センター(一般社団法人 日本医療安全調査機構)【センター調査 個別調査部会】C0151 個別調査部会 部会長

【著書

1乳癌の診断と治療」30の大学病院による診断と治療シリーズ(単行本)共著平成10年1月真興交易(株)医書出版部本著書は、30大学病院の各病院に依頼し、乳がんの診断と治療についてそれぞれのこだわっている分野について記述されたものである。
編者:並木昭義 A4判、全272ページ 共著者:鈴間孝臣,谷野裕一,内藤泰顯
本人担当部分:「乳癌患者に対するインフォームド・コンセントの理念に基づく診断、治療の現況」(p160-163)を共著
担当部分の概要:当時、がんのインフォームドコンセントが行われていない時代に、筆者らはインフォームドコンセントを、乳がんの診断と治療の一連として行っていた。乳がんのほとんどが腫瘤を自覚されて、若い女性が乳房を失うという衝撃などから、温存術と全摘術などのインフォームドコンセントを行い、術式を選択していた。がんの説明が困難であった時代であったのでその手法について述べた。

2.増刊日本臨床【乳癌の診断と治療 最新の研究動向】  共著平成12年4月日本臨床社本書は、乳がんの診断と治療について、最新技術の研究結果などを総括したものである。
編者:野口眞三郎 B5判、全591ページ 共著者:尾浦正二, 谷野裕一, 内藤泰顯
本人担当部分:「特論 薬剤感受性の予測」(p581-586)を共著
担当部分の概要:抗がん剤は副作用を伴うが、効果が予測できれば、無駄な治療が省かれ、患者のQOLに好影響があると考えられた。組織培養法による抗がん剤効果予測検査は、サンディエゴ校のホフマン教授によって開発され、主に消化器癌において慶応大学と共同開発された。著者が慶応大学に留学の後和歌山医大で共同研究を行い、乳癌、肺癌の切除検体を用いて多数の抗がん剤の至適濃度の決定などを行った。また、臨床への応用に関してなどの知見も述べている。

3.緩和ケアチームの立ち上げとマネジメント 一般病棟で取り組むための支援ガイド

共著平成20年4月南山堂本著は、多種多様な条件下でのがんを中心とした緩和ケアと緩和ケアチームの意義、その立ち上げ方について解説した書籍である。
編者:後明郁男 B5判、全145ページ 共著者:後明郁男、谷野裕一他
本人担当部分:「第4章一般病棟における緩和ケアチームの立ち上げ事例」(p)を単著
担当部分の概要:大学病院を始め、がん専門病院や、総合病院の著者とともに、筆者は、橋本市民病院での活動を地域の市民病院として紹介した。地方の市民病院での地域連携を含めた緩和ケアの実情とそのチームの成り立ち、チームによる日常診療の役割などについて、日本全国の緩和ケアチームのない病院に向けて紹介した。

 

4.チーム医療・医療連携を考える共著平成28年2月クリニシアン本著は、医療関係のチーム医療・医療連携の特集を組んだ医療系雑誌である。
編者:松前謙司 B5判、全119ページ 共著者:数井裕光、伊藤公一、谷野裕一、木下芳一他13名
本人担当部分:「当院のACPに関する取り組みを紹介」(p23−27)を単著
担当部分の概要:筆者は、和歌山の市民病院で11年間、がん患者が家で過ごすことを主眼に、がん終末期診療に取り組んできた。現職の北里大学病院の乳腺外科では、看護師、薬剤師を含めたコメディカルで退院カンファレンスを開始し、後にアドバンスケアプランニング(ACP)と呼ばれる診療を立ち上げ、在宅で最後を迎えるシステムを構築した内容を記述した。

5.3D Sponge-Matrix Histoculture : Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology)共著平成30年3月Humana Press Inc.本著は、ホフマン教授が自ら開発した、がん組織培養の方法論、薬剤の開発や化学療法の効果予測などについて解説した書籍である。
編者:R.M.Hoffman A4判、全119ページ 共著者:Robert M. Hoffman, Aaron E. Freeman, Hirokazu Tanino, Lingna Li, Wenluo Cao他23名
本人担当部分:「10. Clinical Usefuleness of the Histoculture Drug Response Assay for Breast Cancer」をRobert M. Hoffman and Hirokazu Tanino(p93-100)で共著
担当部分の概要:著者は、和歌山医大において乳癌、肺癌の切除検体を用いた抗がん剤の至適濃度の決定を行い、臨床応用に適応した。本稿では、乳癌におけるHDRAの臨床的意義について述べている。

【論文

1.Orthotopic reconstitution of human small-cell lung carcinoma after intravenous transplantation in SCID mice(SCIDマウスにおける静脈内移植後のヒト小細胞肺癌の同所的再構成)(査読付)共著平成4年9月Anticancer Res. 12(5):1407-10.重症複合免疫不全(SCID)マウスの静脈内移植により、ヒト小細胞肺癌(SCLC)の同所的再構成モデル、すなわち肺がんをマウス肺に発生させるモデルを構築した。ヒトSCLC異種移植片H-69とLu-130を細胞化し、SCIDマウスの尾静脈から、静脈注射した後、解剖した。すべてのSCIDマウスで多病巣性肺腫瘍増殖が観察された。心臓と肝臓にも活発に増殖するSCLCが播種していた。このモデルは、ヒトSCLCの生物学的挙動および治療に関するさらなる研究に有用である。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T H Kuo,T Kubota,M Watanabe,T Furukawa, S Kase,H Tanino, H Nishibori, Y Saikawa, T Teramoto, K Ihsibiki, et al.

 

2.Modulation by l-leucovorin of 1-hexylcarbamoyl-5-fluorouracil antitumor activity on human gastric and colon carcinomas serially transplanted into nude mice(ヌードマウスに連続移植したヒト胃癌および大腸癌に対する1-hexylcarbamoyl-5-fluorouracil抗腫瘍活性のロイコボリンによるモジュレーション)(査読付)共著平成4年9月Anticancer Res. 12(5):1549-53.ヒト胃癌(H-111)および大腸癌(Co-4)異種移植片をヌードマウスに移植し,1-hexylcarbamoyl-5-fluorouracil(HCFU)のl-leucovorin(LV)による効果増強試験を実施した。HCFUを毎日3週間経口投与し,LVはHCFU投与の30分前に経口投与した。H-111、Co-4双方に対して、LVの併用により体重減少やマウス死亡率の副作用が増加せずにHCFUによる抗腫瘍効果増強が確認された。したがって、HCFUとLVの併用は、HCFUの毒性を増強することなく、消化器癌に対する抗腫瘍活性を高めるために有用であると考えられる。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Kubota, S Kase, T Furukawa, H Tanino, T H Kuo, Y Saikawa, H Nishibori, K Ishibiki, M Kitajima, K Mabuchi, et al.

 

3.A suitable model for experimental liver metastasis of human colon cancer xenografts using mice with severe combined immunodeficiency(重症複合免疫不全マウスを用いたヒト結腸癌異種移植片の肝転移実験に適したモデル)(査読付)共著平成5年1月J Surg Oncol. 52(1):64-7. ヒト大腸癌の肝転移の適切な動物モデルはなかった。3つのヒト大腸がん異種移植片から腫瘍細胞を得、SCIDマウスとヌードマウスの脾臓内移植を行った。脾臓への腫瘍形成と肝転移の発生率は、ヌードマウスと比較しSCIDマウスで有意に高かった。SCIDマウスでは36匹中33匹、ヌードマウスでは43匹中17匹が肝転移を起こした。ヒト大腸がんの肝転移を研究するためには、ヌードマウスよりもSCIDマウスがより適したモデルであると結論づけられる。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Furukawa, T Kubota, M Watanabe, H Nishibori, T H Kuo, Y Saikawa, S Kase, H Tanino, T Teramoto, K Ishibiki, et al.

 

4.Colorimetric chemosensitivity testing using sulforhodamine B(スルフォローダミンBを用いた比色化学的感受性試験)(査読付)共著平成5年2月J Surg Oncol. 52(2):83-8. 細胞内合成タンパク質を染色するスルフォローダミンB(SRB)をエンドポイントマーカーとした比色化学感受性試験を検討した。4種の培養細胞株,9種のヒト腫瘍異種移植片,および14種の新鮮な手術標本をこのアッセイに供試した。mitomycin C,doxorubicin,cisplatin,5-fluorouracilをSRBアッセイで評価したところ,濃度効果曲線は低濃度と高濃度でプラトー間の急勾配を示し,このアッセイは薬剤の効果をall or noneで評価できる優れた感度を有していることが示唆された。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Kubota, T Takahara, M Nagata, T Furukawa, S Kase, H Tanino, K Ishibiki, M Kitajima

 

5.Experimental cancer chemotherapy using a liver metastatic model of human colon cancer transplanted into the spleen of severe combined immunodeficient mice(ヒト大腸癌肝転移モデルを重症複合免疫不全マウスの脾臓に移植した実験的癌化学療法について)(査読付)共著平成5年2月J Surg Oncol. 52(2):92-6. 我々は重症複合免疫不全(SCID)マウスを用いたヒト大腸癌の肝転移モデルを開発した。ヒト大腸癌株COL-2-JCKの解離腫瘍細胞をヌードマウス脾臓内注入後すべてのSCIDマウスで肝転移が観察された。5-フルオロウラシル(5-FU)は肝転移の予防に効果を示したが、現在用いられているヌードマウスでは5-FUの有効性は限定的であった。このモデルは、大腸癌の肝転移の治療に関するさらなる研究に有用であると思われる。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T H Kuo, T Kubota, H Nishibori, M Watanabe, T Furukawa, S Kase, H Tanino, Y Saikawa, T Teramoto, M Kitajima

 

6.Immunochemotherapy prevents human colon cancer metastasis after orthotopic onplantation of histologically-intact tumor tissue in nude mice(組織学的に不活性な腫瘍組織をヌードマウスに同所的に移植した際の免疫化学療法によるヒト大腸がん転移抑制効果)(査読付)共著平成5年3月Anticancer Res. 13(2):287-91.ヒト大腸癌の転移モデルは、組織学的に無傷の組織内ヌードマウスの同所移植を使用して、以前に確立されている。今回、このモデルを用いて、ヒト大腸癌異種移植片Col-2-JCKに対するOK-432、5-FUおよびMMCを用いた免疫化学療法の効果を検討した。OK-432を用いずに5-FUとMMCを投与した場合、両薬剤の最大耐容量でも肝転移は減少しなかったが、セカール腫瘍の増殖は有意に抑制された。一方、OK-432と併用した場合、5-FUとMMCはともに肝転移を抑制し、セカンダリー腫瘍の成長を相乗的に抑制したことから、転移に対する免疫療法と化学療法の併用の可能性を示すものである。本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Furukawa, T Kubota, M Watanabe, T H Kuo, S Kase, Y Saikawa, H Tanino, T Teramoto, K Ishibiki, M Kitajima, et al.

 

7.Interferon beta increases antitumor activity of 5-fluorouracil against human colon carcinoma cells in vitro and in vivo(インターフェロンβはヒト結腸癌細胞に対する5-フルオロウラシルの抗腫瘍活性をin vitroおよびin vivoで増加させる)(査読付)共著平成5年3月Anticancer Res. 13(2):369-73.ヒト小細胞肺がん(SCLC)を重症複合免疫不全(SCID)マウスの尾静脈に注入し、肺で増殖する同所移植モデルを開発した。肺で増殖したSCLCはシスプラチン(DDP)に対して顕著な効果を示したが、マイトマイシンC(MMC)では効果はなく臨床の状況と一致した。皮下移植片では逆で、皮下腫瘍よりも、同所移植腫瘍が、ヒトSCLCの薬剤効果をより忠実に反映した。SCIDマウスの同所移植モデルは、ヒトSCLCの治療に関する研究に有用であると考えられた。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:S Kase, T Kubota, M Watanabe, T Furukawa, H Tanino, K Ishibiki, T Teramoto, M Kitajima

 

8.Site-specific chemosensitivity of human small-cell lung carcinoma growing orthotopically compared to subcutaneously in SCID mice: the importance of orthotopic models to obtain relevant drug evaluation data(SCIDマウスの皮下投与に比べ同所的に成長するヒト小細胞肺癌の部位特異的化学感受性:適切な薬剤評価データを得るための同所的モデルの重要性)(査読付)共著平成5年5月Anticancer Res. 13(3):627-30.ヒト小細胞肺がん(SCLC)を重症複合免疫不全(SCID)マウスの尾静脈に注入し同所移植モデルを開発した。シスプラチン(DDP)は肺に定位増殖したSCLCに対して顕著な抗腫瘍効果を示したが、マイトマイシンC(MMC)にはその効果はなく、臨床の状況を反映したものであった。しかし、SCLCが皮下で増殖している場合には、逆の効果が見られた。皮下移植よりも、同所移植モデルの方が、臨床の薬剤効果をより忠実に反映していることを示唆している。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T H Kuo, T Kubota, M Watanabe, T Furukawa, S Kase, H Tanino, Y Saikawa, K Ishibiki, M Kitajima, R M Hoffman

 

9.A metastatic model of human colon cancer constructed using cecal implantation of cancer tissue in nude mice(ヌードマウスへのがん組織の盲腸移植によるヒト大腸がん転移モデルの構築)(査読付)共著平成5年5月Surg Today. 23(5):420-3. ヌードマウスへ可移植ヒト結腸癌移植株COL-2-JCKを、癌組織または単一細胞懸濁液として盲腸下層に移植した。100%の局所増殖と、局所リンパ節、腹膜、肝臓、肺への高率な転移が観察された。一方、この株を噴門壁に注入しても、転移は観察されず、局所増殖は著しく低かった。このことから、がん細胞の増殖、転移には、がん組織本来の臓器への移植が必須と考えられます。同所移植モデルは、ヒトがんの生物学的研究を促進することが期待されます。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Furukawa, T Kubota, M Watanabe, T H Kuo, H Nishibori, S Kase, Y Saikawa, H Tanino, T Teramoto, K Ishibiki, et al.

 

10.Significance of in vitro attachment of human colon cancers to extracellular matrix proteins in experimental and clinical liver metastases(実験および臨床肝転移におけるヒト大腸癌の細胞外マトリックス蛋白質へのin vitro付着の意義)(査読付)共著平成5年5月J Surg Oncol. 1993 May;53(1):10-57ヒト結腸癌株、および結腸癌患者30人の原発腫瘍と肝転移の細胞外マトリックスタンパク質(EMP)への接着をMTTアッセイで評価した。実験的に肝転移を起こした4腫瘍株は、そうでない3腫瘍株に比べて、EMP付着が優位に大きかった。肝転移と原発腫瘍を同時に調べた8例では、肝転移由来細胞のEMPへの付着が、原発腫瘍よりも有意に大きかった。MTTアッセイにより測定できるEMP付着活性は、臨床における肝転移の予測に有用と考えられる。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Furukawa, M Watanabe, T Kubota, S Kase, S Fujita, T Yamamoto, Y Saikawa, T H Kuo, H Tanino, N Kurihara, et al.

 

11.A newly developed hexamethylmelamine derivative, SAE9 with both antitumor and aromatase-inhibitory activity(抗腫瘍活性とアロマターゼ阻害活性を併せ持つ新規Hexamethylmelamine誘導体SAE9の開発)(査読付)共著平成5年5月Anticancer Res. 13(3):623-6.新たに開発したHexamethylmelamine誘導体SAE9はアロマターゼ阻害活性と同時に直接抗腫瘍活性を有する。乳がん細胞株(MCF-7,R-27,MDA-MB-231)に対する直接的な抗腫瘍活性は,単層培養で増殖する細胞に対してMTTアッセイで評価した。SAE9のIC50は、HMMとほぼ同等であった。アロマターゼ阻害作用のIC50は、aminoglutethimideより優れていた.また、in vivoアロマターゼ阻害試験でも同等であった。SAE9は、乳がん細胞株に対して抗腫瘍活性とアロマターゼ阻害活性の両方を有することから、有望と思われる。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:H Tanino, T Kubota, Y Yamada, J I Koh, T Takeuchi, S Kase, T Furukawa, M Takahashi, S Fukuda, N Ogose, et al.

 

12.Enhancement of antitumor activity of cisplatin on human gastric cancer cells in vitro and in vivo by buthionine sulfoximine(ブチオニンスルホキシミンによるシスプラチンのin vitroおよびin vivoでのヒト胃癌細胞に対する抗腫瘍活性の増強について)(査読付)共著平成5年7月Jpn J Cancer Res. 84(7):787-93. ブチオニンスルホキシミン(BSO)によるシスプラチン(DDP)の抗腫瘍活性の増強を評価した。in vitro試験では、2つの胃がん細胞株でBSO単独ではわずかな抗腫瘍活性しか示さなかったが、BSO前処理でDDPの抗腫瘍活性が増加した。In vivo試験では,2種のヒト胃癌移植株に対するDDPの抗腫瘍効果は,BSOの前処理により増強されたが、副作用はBSOの前処理によって増加しなかった。BSOはDDPの毒性を増加させることなく抗腫瘍活性を増加させ有望な薬剤である。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:Y Saikawa, T Kubota, T H Kuo, T Furukawa, H Tanino, M Watanabe, K Ishibiki, M Kitajima

 

13.Different chemo- and endocrino-sensitivity of MCF-7 cells with or without estradiol supplement in vitro(エストラジオール添加/無添加のMCF-7細胞のin vitroにおける異なる化学および内分泌感受性の変化)(査読付)共著平成5年7月Anticancer Res. 13(4):1219-21.MCF-7のタモキシフェン(TAM)およびマイトマイシンC(MMC)に対する感受性を、エストラジオールの補充がある場合とない場合でそれぞれ評価した。MCF-7の増殖は濃度依存的にMMCによって阻害された。MMCとのプレインキュベーションにより、その後のE2刺激によるMCF-7の増殖が抑制された。TAMはE2を添加したMCF-7の増殖を抑制し、TAMとのプレインキュベーションによりその後のE2刺激によるMCF-7の増殖が抑制された。しかし、TAMはE2フリー培地におけるMCF-7細胞の増殖を阻害しなかった。
本人担当部分:ほぼすべての研究を担った。
共著者:H Tanino, T Kubota, Y Saikawa, T H Kuo, T Takeuchi, S Kase, T Furukawa, M Kitajima, T Sakurai, Y Naito, et al.

 

14.Synergistic antitumor activity of mitomycin C and cisplatin against gastric cancer cells in vitro(胃癌細胞に対するmitomycin Cとcisplatinのin vitroでの相乗的な抗腫瘍活性)(査読付)共著平成5年10月J Surg Oncol. 54(2):98-102. 胃癌細胞株に対するmitomycin C(MMC)とcisplatin(DDP)の抗腫瘍活性をMTTアッセイで評価した。相乗効果は,相互作用指数で評価した。MKN-28およびMKN-45に対して,MMC→DDPの順序は逆の順序よりも高い抗腫瘍活性を示し,MMCのプレインキュベーションでMKN-45の細胞内白金濃度が有意に増加したことから,MMCでDDPの細胞透過性が上がったことが示唆された。この併用化学療法は毒性を増大させずに相乗的な抗腫瘍活性を与えるという点で有利であると考えられる。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:Y Saikawa, T Kubota, T H Kuo, S Kase, T Furukawa, H Tanino, K Ishibiki, M Kitajima

 

15.Combined effect of 5-fluorouracil and carboplatin against human gastric cancer cell lines in vitro and in vivo(ヒト胃癌細胞株に対する5-FluorouracilとCarboplatinのin vitroおよびin vivoでの併用効果)(査読付)共著平成6年3月Anticancer Res. 14(2A):461-4.5-FUとカルボプラチン(JM-8)の順次併用療法の抗腫瘍活性を,胃癌細胞株を用いてin vitroおよびin vivoで評価した。in vitroでは,5-FUの後にJM-8を投与する順序は,逆の順序よりも高い抗腫瘍活性を示した。5-FUおよびJM-8のin vivoでの抗腫瘍活性および毒性を評価するために、ヒト胃癌株(St-15、St-40およびSC-1-NU)が移植されたヌードマウスに5-FUおよびJM-8を腹腔内投与した。5-FUをJM-8より先に投与する順序は、すべての異種移植片で逆の順序より高い抗腫瘍活性を示し、同時投与は最も強力な抗腫瘍活性を示した。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:Y Saikawa  1 , T Kubota, T H Kuo, H Tanino, S Kase, T Furukawa, M Watanabe, K Ishibiki, M Kitajima, R M Hoffman

 

16.Antitumor activity of (2''R)-4'-O-tetrahydropyranyl adriamycin on human gastric cancer cell lines in vitro and in vivo((2''R)-4'-O-tetrahydropyranyl adriamycinのヒト胃癌細胞株に対するin vitroおよびin vivoでの抗腫瘍活性について)(査読付)共著平成6年3月Anticancer Res. 14(2A):469-73.pirarubicin; THPの抗腫瘍活性をin vitroおよびin vivoでヒト胃癌株を用いて評価した。MKN-28およびMKN-45に対するTHPの抗腫瘍活性は,MTアッセイで検出されたアドリアマイシン(ADM)の抗腫瘍活性よりも優れていた。St-15、St-40およびSC-1-NUを移植したヌードマウスにTHPとADMを同量腹腔内投与したところ、THPの抗腫瘍活性はADMとほぼ同等であった。しかし、THPの副作用は、ADMより有意に低いことがわかった。THPは胃がんの化学療法において、ADMに代わるアントラサイクリン系薬剤の候補であることが示された。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:Y Saikawa, T Kubota, T H Kuo, T Furukawa, S Kase, H Tanino, K Ishibiki, M Kitajima, R M Hoffman

 

17.Synergistic antitumor activity of combination chemotherapy with mitomycin C and cisplatin against human gastric cancer xenografts in nude mice(ヌードマウスを用いたヒト胃癌異種移植片に対するmitomycin Cとcisplatinの併用化学療法の相乗的抗腫瘍活性について)(査読付)共著平成6年8月J Surg Oncol. 56(4):242-5. ヌードマウスを用いたヒト胃癌株St-40およびSC-1-NUに対して,mitomycin C(MMC)とcisplatin(DDP)の新しい併用癌化学療法レジメンは,相乗的抗腫瘍活性を示した。St-40およびSC-1-NUに対するMMCおよびDDPのスケジュール依存的な抗腫瘍活性を明らかにするために,異なる連続的な治療が行われた。SC1-NUに対しては同時投与が最も高い抗腫瘍活性を示し、St-40に対してはMMC→DDPの順で高い抗腫瘍活性を示した。この併用療法は、それぞれの単剤の毒性を増加させることなく抗腫瘍活性を増加させるので、臨床的に有用であると思われる。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:Y Saikawa, T Kubota, T H Kuo, T Furukawa, S Kase, H Tanino, Y Isobe, M Watanabe, K Ishibiki, M Arimori, et al.

 

18.Antitumor activity of hexamethylmelamine on human tumor xenografts serially transplanted in nude mice(ヌードマウスに連続移植されたヒト腫瘍異種移植片に対するhexamethylmelamineの抗腫瘍活性)(査読付)共著平成6年11月Anticancer Res. 14(6B):2521-4.hexamethylmelamine(HMM)の抗腫瘍活性を,ヌードマウスに連続移植した4個のヒト腫瘍異種移植片を用いて評価した。HMMの推定最大耐量(MTD)は75 mg/kgであった。MX-1細胞株は,MTDで消失した。MX-1に対するHMMの最小有効量は22.1 mg/kgで,Chemotherapeutic Indexは3.4であった。HMMの脱メチル化誘導体であるペンタメチルメラミンとテトラメチルメラミンもMX-1に対して有効であったが,トリメチルメラミンは無効であった。HMMは経口投与によりヒト癌腫の治療に有望な薬剤であると考えられる。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Kubota, H Tanino, M Watanabe, M Kitajima

 

19.Recombinant human interferon alpha-2a increases the antitumor activity of 5-fluorouracil on human colon carcinoma xenograft Co-4 without any change in 5-FU pharmacokinetics(ヒト結腸癌異種移植片Co-4に対する遺伝子組換えヒトインターフェロンα-2aは5-FUの薬物動態を変化させることなく抗腫瘍活性を増大させる)(査読付)共著平成7年1月Anticancer Res. 1995 Jan-Feb;15(1):153-5.ヌードマウスのヒト結腸癌株(Co-4)に対する5-FUの抗腫瘍活性に対する遺伝子組み換えヒトインターフェロンα2a(IFN-α)の調節効果を、5-FUの薬物動態パターンの変化に着目して検討した。薬物動態パラメータとして、IFN-αを併用した場合と併用しない場合の5-FUの曲線下面積(AUC)と血漿中ピーク濃度(Cmax)を測定したところ、5-FUの薬物動態はIFN-α投与により変化していなかった。この結果は、5-FUに対するIFN-αの調節作用は、5-FUの薬物動態パラメータの増大を伴わないことを示唆するものである。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:S Kase, T Kubota, M Watanabe, T Furukawa, H Tanino, T H Kuo, Y Saikawa, T Teramoto, M Kitajima

 

20.In vivo antitumor activity of hexamethylmelamine against human breast, stomach and colon carcinoma xenografts(hexamethylmelamineのヒト乳癌、胃癌および大腸癌の異種移植片に対するin vivo抗腫瘍活性)(査読付)共著平成7年8月Jpn J Cancer Res. 86(8):770-5. ヌードマウスに移植したヒト癌株に対するAltretamine(hexamethylmelamine, HMM)の抗腫瘍活性を評価した。ヒト乳癌株MX-1、T-61、MCF-7、R-27、Br-10、胃癌株SC-1-NU、St-4、ヒト結腸癌株Co-3、Co-4、Co-6をヌードマウスに移植した。MX-1およびT-61は,MX-1では最大耐量(MTD)75 mg/kg,T-61では25 mg/kgで完全に消失した。Br-10は感受性で,MCF-7とR-27は抵抗性であった。また、胃がん、大腸がんのすべての異種移植片に有効でした。HMMは、乳がん、胃がん、大腸がんなどの治療薬の候補として、さらに臨床研究を進める価値があると思われる。
本人担当部分:研究手技のほとんどを担った。
共著者:H Tanino, T Kubota, Y Yamada, J Koh, S Kase, T Furukawa, T H Kuo, Y Saikawa, M Kitajima, Y Naito

 

21.Dual modulation by l-leucovorin and recombinant human interferon alpha 2a of 5-fluorouracil antitumor activity against the human colon carcinoma xenograft Co-4(ヒト結腸癌異種移植片Co-4に対する5-フルオロウラシル抗腫瘍活性のロイコボリンと遺伝子組み換えヒトインターフェロンα2aによる二重調節機構)(査読付)共著平成7年12月J Interferon Cytokine Res. 15(12):1089-93.ヌードマウスを用いて、ヒト大腸癌株(Co-4)に対する5-フルオロウラシル(5-FU)の抗腫瘍活性をl-ロイコボリン(LV)と遺伝子組み換えヒトインターフェロン-α2a(IFN-α2a)で二重に調節することを検討した。調節作用は、実験期間中に重篤な副作用や死亡を伴うことなく、相乗的であると評価された。これらの結果から、ヒト大腸がんに対する5-FUの抗腫瘍活性は、作用機序の異なるこれら2つのモジュレーターによって、重篤な副作用なく著しく増強される可能性が示唆された。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:S Kase, T Kubota, M Watanabe, T Furukawa, H Tanino, T H Kuo, Y Saikawa, T Teramoto, M Kitajima

 

22.Pirarubicin might partly circumvent the P-glycoprotein-mediated drug resistance of human breast cancer tissues(ピラルビシンはP糖タンパク質を介したヒト乳癌組織の薬剤耐性を一部回避できる可能性がある)(査読付)共著平成9年3月Anticancer Res. 18(2A):967-72.進行乳癌患者63名から得られた65個の手術標本のin vitro化学感受性を,doxorubicin(DXR),pirarubicin [(2 "R)-4'-tetrahydropyranyladriamycin: THP] および epirubicin (EPIR) を用いて組織培養薬剤反応試験 (HDRA) によって評価した。各薬剤のカットオフ濃度において有効率はDXRが60.7%,EPIRが48.6%,THPが78.6%であった。薬剤感受性とP糖タンパク(Pgp)の発現との相関を比較検討した。Pgpは23.5%(12/51)に発現しており,Pgp陽性では効果が低下したが,その低下はTHPでは低く,DXRおよびEPIRと比較すると統計的に有意差が認められた。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Kubota, T Furukawa, H Tanino, S Oura, H Murata, S Yuasa, K Morita, J Ueno, R Kozakai, T Yano

 

23.Analysis of the early postoperative serum carcinoembryonic antigen time-course as a prognostic tool for bronchogenic carcinoma(気管支癌の予後予測ツールとしての術後早期血清carcinoembryonic antigenのタイムコースの解析)(査読付)共著平成9年4月Cancer. 15;79(8):1533-40. 31名の肺癌術後早期のCEAの時間経過を非線形最小二乗法により解析した。術後の血清CEA値の低下なし16例、低下あり15例で、15例のうち再発は9例。術後6カ月以内の早期再発は5例で、再発のない10例に比べてプラトーが高い傾向にあり、術後CEA産生量は有意に高かった。PRODはPLATより感度が高いが、両パラメータは肺癌切除後の早期再発を予測する予後判定ツールとして有用であると思われる。これは、両パラメーターが手術直後の残存腫瘍細胞数を表しているためと思われる。
本人担当部分:データ収集の一部を担った。
共著者:T Yoshimasu, S Miyoshi, S Maebeya, T Suzuma, T Bessho, I Hirai, H Tanino, J Arimoto, Y Naito

 

24.Antitumor spectra of anthracyclines against gastric cancer tissues obtained from surgical specimens with reference to P-glycoprotein expression(手術標本から得られた胃癌組織に対するアントラサイクリン系薬剤の抗腫瘍スペクトルとP糖蛋白発現量の関係)(査読付)共著1998J Surg Oncol. 1998 Nov;69(3):173-7. 胃癌患者から採取した26検体で、doxorubicin(DXR)、epirubicin(EPI)、4'-O-tetrahydropyranyldoxorubicin(pirarubicin;THP)を用いた組織培養薬効測定法よP糖タンパク(Pgp)を免疫染色し、陽性率は53.8%(14/26)であった。Pgp陽性標本では,全例がDXRに抵抗性で,28.6%(4/14)がTHPに感受性であった。Pgpの発現はDXRおよびEPIに対する抵抗性に影響を及ぼす可能性があるが,THPはこの抵抗性を部分的に損なう可能性があり,DXR不応性胃癌の治療におけるTHPの臨床的有用性が示唆された。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Furukawa, T Kubota, H Murata, H Tanino, S Yuasa, K Morita, J Ueno, K Kozakai, T Yano

 

25.In Vitro and In Vivo Modulation of Growth Regulation in the Human Breast Cancer Cell Line MCF-7 by Estradiol Metabolites(エストラジオール代謝産物によるヒト乳がん細胞株MCF-7のin vitroおよびin vivoでの増殖制御機構について)(査読付)共著平成11年4月Breast Cancer. 6(2):87-92. 17β-エストラジオール(E2)およびその代謝物である 16 アルファ-ヒドロキシエストロン (16 alpha-OHE1) および 2 ヒドロキシエストロン (2-OHE1) が腫瘍細胞の成長を調節するものとして機能するかどうかを検証した。MCF-7細胞の三次元コロニーアッセイでは、E2および16α-OHE1では、MCF-7細胞のコロニー数は増加したが、2-OHE1では増加しなかった。ヌードマウス皮下移植モデルではE2または16 alpha-OHE1を投与すると、腫瘍の成長が増加したが、2-OHE1は腫瘍の増加は見られなかった。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:A Suto, NT Telang, H Tanino, T Takeshita, H Ohmiya, MP Osborne, T Kubota

 

26.Disappearance curves for tumor markers after resection of intrathoracic malignancies(胸腔内悪性腫瘍の切除後の腫瘍マーカーの消失曲線)(査読付)共著平成11年4月Int J Biol Markers. 14(2):99-105.胸部悪性腫瘍術後の血清腫瘍マーカーレ消失曲線を解析した。CEA,SLX,AFP,CA19-9,SCC,TPA,CYFRAの血清濃度を40例、術後数回測定し、非線形最小二乗法を適用した。消失曲線はCEA、SCC、TPA、CYFRA、SLXで単相関、CA 19-9とAFPで二相関であった。SCC、TPA、CYFRAでは術後の一時的な血清濃度の上昇が認められた。CEA、SLX、SCC、TPA、CYFRAの平均半減期はそれぞれ1.5日、2.7日、2.2時間、2.5時間および1.5時間であった。CA 19-9、AFPの平均半減期は,第1コンパートメントで0.5日,1.0日、第2コンパートメントで4.3日,6.3日であった.
本人担当部分:データ収集の一部を担った。
共著者:T Yoshimasu, S Maebeya, T Suzuma, T Bessho, H Tanino, J Arimoto, T Sakurai, Y Naito

 

27.新規アロマターゼ阻害剤の乳癌内分泌療法における前臨床試験とその実験モデルに関する研究.  (博士論文)
単著平成11年5月和歌山医学 47: 427-432Hexamethylmelamine(HMM)骨格にトリアゾール基を接着したアロマターゼ阻害剤で細胞増殖抑制作用を持つ新規薬剤を開発した。乳がん細胞株に対する直接的な抗腫瘍活性をヒト胎盤アロマターゼ阻害アッセイを用いてアロマターゼ阻害効果を評価した。また、in vivoアロマターゼ阻害試験としてアンドロステンジオンで処理したラット子宮成長モデルにおいて、SAE9はAGと同等の効果を示した。SAE9は、エストロゲン依存性の乳がん細胞株に対して抗腫瘍活性とアロマターゼ阻害活性の両方を有することから、本剤と同様の非ステロイド性アロマターゼ阻害剤は、今後の研究対象として有望視されるものと思われる。

 

28.Bisphosphonate therapy for bone metastases from breast cancer: clinical results and a new therapeutic approach(乳癌骨転移に対するビスフォスフォネート療法:臨床成績と新しい治療アプローチ)(査読付)共著平成12年4月Breast Cancer. 7(4):307-10. 骨転移・浸潤を有する29名の患者に対し、ビスフォスフォネート(BIS)単剤療法を行った。パミドロネート30mg、アレンドロネート10mg、インカドロネート10mgを2週間ごとに30分かけて中央値で12回点滴投与した。BIS療法により、5例(17%)で骨病変の部分寛解が認められ、18例(64%)で疼痛緩和が認められた。BIS-sequential療法を行った9名のうち、1名(11%)に骨転移の部分寛解、3名(33%)に疼痛緩和、1名(11%)に血清腫瘍マーカー値の減少を認めた。
本人担当部分:治療の一部を担った。
共著者:S Oura, H Tanino, T Yoshimasu, T Sakurai, T Nakamura, Y Kokawa, K Matsuyama, F Ohta, Y Naito

 

29.Chemosensitivity of breast cancer lymph node metastasis compared to the primary tumor from individual patients tested in the histoculture drug response assay(乳がんのリンパ節転移の化学感受性を組織培養薬物反応試験で調べた個々の患者の原発腫瘍と比較した結果)(査読付)共著平成12年9月Anticancer Res. 2000 Sep-Oct;20(5C):3657-8.30人の乳癌患者の原発腫瘍および腋窩リンパ節転移の手術標本に対して組織培養薬物反応試験(HDRA)を実施した。リンパ節転移は、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンCに対して原発巣よりも抵抗性が高かったが(p < 0.05)、シスプラチンに対しては抵抗性がなかった。化学療法の臨床効果を高めるために,個々の患者の原発巣と転移巣の両方をHDRAで試験する必要があることを示唆している。本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:T Furukawa, T Kubota, H Tanino, S Oura, S Yuasa, H Murate, K Morita, K Kozakai, T Yano, R M Hoffman

 

30.Acquisition of multidrug resistance in recurrent breast cancer demonstrated by the histoculture drug response assay(組織培養薬物反応性試験で示された再発乳癌の多剤耐性獲得)(査読付)共著平成13年11月Anticancer Res. 2001 Nov-Dec;21(6A):4083-6.再発乳癌における多剤耐性獲得の程度を把握するため、再発乳癌24例と原発乳癌127例を対象に、histoculture drug response assay(HDRA)で化学感受性を評価し比較検討した。原発巣対再発巣の平均抑制率は、全ての薬剤で低下していた。投与されていないcisplatinに対する感受性も原発性乳癌に比べて再発性乳癌で有意に低かったことから、交差耐性を誘発することが示唆された。HDRAは臨床的に有用な情報を提供し、特に再発乳癌の多剤耐性問題を克服するために必要な具体的な個別化治療設計に役立つものである。
本人担当部分:研究手技のほとんど全てを担った。
共著者:H Tanino, S Oura, R M Hoffman, T Kubota, T Furukawa, J Arimoto, T Yoshimasu, I Hirai, T Bessho, T Suzuma, T Sakurai, Y Naito

 

31.Time course of carcinoembryonic antigen after resection of lung cancer: a predictor of recurrence(肺癌切除後のcarcinoembryonic抗原の時間経過:再発の予測因子として)(査読付)共著平成15年8月Cancer Sci. 2003 Aug;94(8):741-4. 肺癌切除後の術後早期のCEA値の時間経過が患者の予後予測に利用できるかどうかを検討した。53人の肺癌患者を本研究に組み入れた。術後血清CEA値は非線形最小二乗フィッティングにより算出した。残存腫瘍細胞が多いほどCEAプラトー値、産生量は高く、再発が早い。結果 術前のCEA値が十分に高かった30名の患者について、カットオフ値を用いた再発予測の精度は、C(p)で79%、P(p)で89%であった。P(p)が0.9ng/ml/dayを超える患者には非常に悪い予後が観察された。
本人担当部分:データ収集の一部を担った。
共著者:Tatsuya Yoshimasu, Yozo Kokawa, Shoji Oura, Issei Hirai, Rie Sasaki, Hirokazu Tanino, Teruhisa Sakurai, Yoshitaka Okamura

 

32.Increased expression of integrin alpha3beta1 in highly brain metastatic subclone of a human non-small cell lung cancer cell line(ヒト非小細胞肺がん細胞株の高脳転移性サブクローンにおけるintegrinα3beta1の発現上昇)(査読付)共著平成16年2月Cancer Sci. 2004 Feb;95(2):142-8. 非小細胞肺がん(NSCLC)の脳転移過程におけるインテグリンと細胞外マトリックス(ECM)の役割を明らかにするため、ヒトNSCLC細胞株EBC-1/originalのin vivo脳転移モデルをヌードマウスに確立し、高脳転移性サブクローンEBC-1/brainと高骨転移性サブクローンEBC-1/boneを作成した。これらのサブクローンのインテグリン発現はフローサイトメトリーで評価した。integrin alpha3beta1の阻害はEBC-1/brainの脳転移を有意に減少させた(P < 0.05).integrin alpha3beta1とlamininの相互作用は,非小細胞肺癌の脳転移の過程で重要な役割を担っている.
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:Tatsuya Yoshimasu, Teruhisa Sakurai, Shoji Oura, Issei Hirai, Hirokazu Tanino, Yozo Kokawa, Yasuaki Naito, Yoshitaka Okamura, Ichiro Ota, Naoyuki Tani, Nariaki Matsuura

 

33.A case of serum CEA disappearance curve after resection of breast carcinoma(乳癌切除後に血清CEA消失曲線を呈した一例)(査読付)共著平成16年2月Breast Cancer. 2004;11(2):203-5. 乳癌症例において,腫瘍切除後のCEAを測定した。左乳癌を有する45歳女性は,非線形最小二乗法により術後血清CEA排泄動態を算出した。プラトー値は6.9ng/mlとなり,カットオフ値を上回り,悪性腫瘍の残存を示唆する結果となった.術後補助化学療法後、CEAは1.8ng/mlに正常化した。術前の血清CEA濃度が高い乳癌患者において,本法によるCEA除去法は残存悪性腫瘍の検出に有用である可能性が示唆された.
本人担当部分:治療の一部を担った。
共著者:Tatsuya Yoshimasu, Rie Sasaki, Shoji Oura, Issei Hirai, Yozo Kokawa, Hirokazu Tanino, Teruhisa Sakurai, Yoshitaka Okamura

 

34.Data acquisition for the histoculture drug response assay in lung cancer(肺がんにおける組織培養法薬剤感受性試験のデータ獲得)(査読付)共著2007J Thorac Cardiovasc Surg. 2007 Feb;133(2):303-8. 1994年5月から2005年2月までの間に、359例の肺癌検体から組織培養法薬剤感受性試験のデータを取得した。シスプラチン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、5-フルオロウラシル、ドセタキセル、パクリタキセル、エトポシド、イリノテカン、ゲムシタビンに対する組織の化学感受性の有無を検討した。非小細胞肺がんを対象に、各薬剤のカットオフ阻害率を求め、化学療法の奏効予測率を算出した。真陽性率73.2%、真陰性率100%、精度83.0%と良好な予測性が確認された。
本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:本人担当部分:研究手技の一部を担った。
共著者:Tatsuya Yoshimasu, Shoji Oura, Issei Hirai, Takeshi Tamaki, Yozo Kokawa, Kazuhito Hata, Fuminori Ohta, Rie Nakamura, Mitsumasa Kawago, Hirokazu Tanino, Yoshitaka Okamura, Tomoko Furukawa

 

35.In vitro evaluation of dose-response curve for paclitaxel in breast cancer(乳癌におけるpaclitaxelの用量反応曲線のin vitro評価)(査読付)共著平成19年4月Breast Cancer. 14(4):401-5. 乳癌におけるパクリタキセルの用量反応曲線の個人差を調べるために、20例の乳がん手術検体をhistoculture drug response assay (HDRA)法に使用した。パクリタキセルの数濃度における阻害率を測定し、非線形最小二乗法により最大反応量,傾き係数,ED50の平均値(±SD)を得た。スロープファクターは,核グレード1および2に比べ,核グレード3の腫瘍でより高かった。核グレード3の腫瘍は、核グレード1および2の腫瘍と比較して、パクリタキセルに対する化学感受性がより均一であるように思われた。
本人担当部分:研究手技の導入と指導を行った。
共著者:Tatsuya Yoshimasu, Shoji Oura, Issei Hirai, Takeshi Tamaki, Yozo Kokawa, Fuminori Ota, Rie Nakamura, Yukio Shimizu, Mitsumasa Kawago, Yoshimitsu Hirai, Koma Naito, Megumi Kiyoi, Hirokazu Tanino, Yoshitaka Okamura, Tomoko Furukawa

 

36.Novel eradicative high-dose rate brachytherapy for internal mammary lymph node metastasis from breast cancer(内胸リンパ節転移に対する新規根治的高線量率小線源療法)(査読付)共著平成24年11月World J Radiol. 4(11):443-9. 単発の内胸リンパ節転移で60Gy,2.5Gy分割の外部照射に反応しなかった。超音波下で胸膜と血管を避け、病巣にアプリケータ針を経皮的に挿入し,照射計画を作成した。皮膚腫瘍間に必要な、スペーサーの厚さを決定し、超音波モニター下でヒアルロン酸ゲルを注入した。目標体積の100%に16Gyで照射された。治療終了までの3年間、術式に関連した合併症や晩期合併症はなく、治療部位での局所再発も観察されなかった。本人担当部分:他の治療と放射線治療手技の一部を担った。共著者:Kazushi Kishi, Hirokazu Tanino, Tetsuo Sonomura, Shintaro Shirai, Yasutaka Noda, Morio Sato, Yoshitaka Okamura

 

37.Prognostic significance of Ki-67 in chemotherapy-naive breast cancer patients with 10-year follow-up(化学療法未実施の乳がん患者における10年後のKi-67の予後的意義について)(査読付)共著平成26年1月Anticancer Res. 34(1):259-68.化学療法を行わず手術を行った乳癌患者253名を対象に臨床病理学的因子と10年生存率を評価した。有意な一変量予後因子は以下の通りであった。T因子、N因子、腫瘍マーカーの術前値、生物学的因子であった。T因子、CEA、ホルモン受容体、Ki-67は多変量解析により無再発生存率の最終的な独立予後因子であった。Ki-67陽性例を除くLuminal A群は最良の生存成績を示し、HER2陽性またはトリプルネガティブ群はLuminal A群より予後が悪く、Ki-67は各ステージで優れた予後因子となることが示された。
本人担当部分:研究の指導を行った。
共著者:Hiroshi Nishimiya, Yoshimasa Kosaka, Keishi Yamashita, Naoko Minatani, Mariko Kikuchi, Akira Ema, Kazunori Nakamura, Mina Waraya, Norihiko Sengoku, Hirokazu Tanino, Masaru Kuranami, Masahiko Watanabe

 

38.The safety of concentrated trastuzumab in 100 ml of saline solution for administration to patients with HER2-positive breast cancer: a phase 1 study(HER2陽性乳癌患者への濃縮トラスツズマブ100mL生理食塩液投与の安全性:第1相試験)(査読付)共著平成26年1月Chemotherapy. 60(1):1-6. トラスツズマブの投与は、250mlの生理食塩水で行うことが推奨されているが、100mlの生理食塩水で30分かけて投与した場合の安全性を評価した。HER2陽性乳癌患者を登録した。トラスツズマブの投与量は、生理食塩水100ml中、3段階(2、6、8mg/kg)とした。主要評価項目は、安全性の判定とした。9名の患者が登録され、有害事象は認められず、8mg/kg/100mlの生理食塩水投与が推奨用量とされた。結論:HER2陽性乳癌患者において,トラスツズマブを生理食塩水100mlに溶解して30分投与することは安全である。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Norihiko Sengoku, Hirokazu Tanino, Yoshimasa Kosaka, Mariko Kikuchi, Hiroshi Nishimiya, Mina Waraya, Hiroshi Katoh, Takumo Enomoto, Takeo Sato, Masaru Kuranami, Masahiko Watanabe

 

39.Usefulness of MRI of microcalcification lesions to determine the indication for stereotactic mammotome biopsy(ステレオマンモトームの適応判定における微小石灰化病変のMRIの有用性)(査読付)共著平成26年11月Anticancer Res. 34(11):6749-53.造影MRIを用いた石灰化カテゴリー3(C3)の良性・悪性鑑別におけるステレオマンモトーム(ST-MTB)の有効性を検討した。当院で微小石灰化を有する患者168名がST-MTBに先立ち造影MRIを受診した。造影MRIの感度、特異度、陽性適中率(PPV)、陰性適中率(NPV)を算出した。168例中51例に悪性腫瘍を認めなかった。造影MRIの感度、特異度、PPV、NPVの算出値はそれぞれ84%、82%、58%、95%であった。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Mariko Kikuchi, Hirokazu Tanino, Yoshimasa Kosaka, Norihiko Sengoku, Keishi Yamashita, Naoko Minatani, Hiroshi Nishimiya, Mina Waraya, Hiroshi Katoh, Takumo Enomoto, Sabine Kajita, Reiko Woodhams, Masahiko Watanabe

 

40.Randomized Controlled Trial of Zoledronic Acid plus Chemotherapy versus Chemotherapy Alone as Neoadjuvant Treatment of HER2-Negative Primary Breast Cancer (JONIE Study)(HER2陰性原発性乳癌に対するネオアジュバント治療としてのゾレドロン酸+化学療法と化学療法単独の無作為化比較試験(JONIE試験))(査読付)共著平成27年12月PLoS One. 3;10(12)HER2陰性の188名の浸潤性乳癌患者を術前化学療法単独(CT)群(n=95)またはCT+ゾレドロン酸(CTZ)群(n=93)に無作為に割り付け、180名が評価対象となった。CTZ群(14.8%)のpCR率はCT群(7.7%)に比べ2倍となった。閉経後患者のpCR率はCTZ群18.4%、CT群5.1%、トリプルネガティブ乳癌患者のpCR率はCTZ群35.3%、CT群11.8%であった。CTにZOLを追加することは,閉経後患者とトリプルネガティブ乳癌患者において抗癌剤の効果が期待できる。
本人担当部分:症例登録と論文作成の主要部分を行った。
共著者:Yoshie Hasegawa, Hirokazu Tanino, Jun Horiguchi, Daishu Miura, Takashi Ishikawa, Mitsuhiro Hayashi, Shintaro Takao, Seung Jin Kim, Kazuhiko Yamagami, Masaru Miyashita, Muneharu Konishi, Yasushi Shigeoka, Masato Suzuki, Tetsuya Taguchi, Tomoyuki Kubota, Kouhei Akazawa, Norio Kohno, JONIE Study Group

 

41.Prognostic Significance of Promoter DNA Hypermethylation of cysteine dioxygenase 1 (CDO1) Gene in Primary Breast Cancer(原発性乳がんにおけるシステインジオキシゲナーゼ1(CDO1)遺伝子のプロモーターDNA高度メチル化の予後的重要性)(査読付)共著平成28年1月PLoS One. 19;11(1)本研究では、化学療法歴のない原発性乳癌において、CDO1メチル化の臨床病理学的意義を評価した。7つの乳癌細胞株と化学療法歴のない172人の原発性乳癌患者において、CDO1のDNAメチル化を定量化した。6/7の乳癌細胞株では、CDO1遺伝子のプロモーターDNAが高メチル化されており、7つのBC細胞株でCDO1遺伝子の発現が全てmRNAレベルでサイレンシングされていた。メチル化度が高い腫瘍ほど予後が悪いことが明らかになった。トリプルネガティブ乳癌においてCDO1の高メチル化が予後と強い関連性を示した。
本人担当部分:研究指導の一部分を行った。
共著者:Naoko Minatani, Mina Waraya, Keishi Yamashita, Mariko Kikuchi, Hideki Ushiku, Ken Kojo, Akira Ema, Hiroshi Nishimiya, Yoshimasa Kosaka, Hiroshi Katoh, Norihiko Sengoku, Hirokazu Tanino, David Sidransky, Masahiko Watanabe

 

42.Phase II randomized, controlled trial of 1 day versus 3 days of dexamethasone combined with palonosetron and aprepitant to prevent nausea and vomiting in Japanese breast cancer patients receiving anthracycline-based chemotherapy(アントラサイクリン系抗がん剤による化学療法を受けている日本人乳がん患者における悪心・嘔吐予防のためのデキサメタゾン1日投与とパロノセトロンおよびアプレピタント3日投与の第II相ランダム化比較試験)(査読付)共著平成28年3月Support Care Cancer. 24(3):1405-11アントラサイクリンとシクロホスファミドの併用療法を受けた乳がん患者80名を、A群(デキサメタゾン1~3日目)とB群(1日目のみ)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、全期間(1~5日目)における完全奏効(CR)(嘔吐エピソードおよび救助薬なし)であった。A群およびB群でCRの発生率に有意差は認められなかった。この制吐療法に関連する有害事象は非常に少なく、重篤な有害事象もなかった。デキサメタゾンの3日間投与で得られる制吐効果は,デキサメタゾンの1日投与で得られる。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Yoshimasa Kosaka, Hirokazu Tanino, Norihiko Sengoku, Naoko Minatani, Mariko Kikuchi, Hiroshi Nishimiya, Mina Waraya, Hiroshi Katoh, Takumo Enomoto, Takeo Sato, Masaru Kuranami, Masahiko Watanabe

 

43.BRCAness and Prognosis in Triple-Negative Breast Cancer Patients Treated with Neoadjuvant Chemotherapy(ネオアジュバント化学療法を受けたトリプルネガティブ乳がん患者におけるBRCAnessと予後の関係)(査読付)共著平成28年12月PLoS One. 9;11(12)2006年4月から2012年10月までに北里大学病院で術前化学療法を受けたトリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者を対象に、BRCAness、治療効果、再発、生存率について検討した。BRCAnessは0.5以上をBRCAness型、0.5未満をSporadic型とし、病理学的完全奏効(pCR)率、再発、生存率を解析した。CNB検体では、両タイプ間に差はなかった。Non pCR患者の手術標本が24例あり、9例がBRCAness型に再発が多く(7/9対5/15)、無再発生存期間も低かった。手術標本でBRCAness型のままだった7人は、手術標本でSporadic型に変わった6人に比べ、再発、生存とも悪かった。
本人担当部分:研究を主導した。
共著者:Hirokazu Tanino, Yoshimasa Kosaka, Hiroshi Nishimiya, Youko Tanaka, Naoko Minatani, Mariko Kikuchi, Akiko Shida, Mina Waraya, Hiroshi Katoh, Takumo Enomoto, Norihiko Sengoku, Sabine Kajita, Robert M Hoffman, Masahiko Watanabe

 

44.Epigenetic silencing of HOPX contributes to cancer aggressiveness in breast cancer(乳がんにおけるHOPXのエピジェネティックなサイレンシングはがんの侵襲性に寄与する)(査読付)共著平成29年1月Cancer Lett. 1;384:70-78.癌抑制遺伝子HOPXのプロモーターのメチル化は、ヒトがんでは頻繁、特異的に起こる。本研究では乳癌における臨床的意義を検討した。ヒト乳がん細胞株7株全てでHOPXの発現は低くく、プロモーターのメチル化は6株で認められ、脱メチル化剤によりHOPXの発現が回復した。HOPXプロモーターのメチル化は、乳がん患者の予後不良を独立して予測した。特に、HOPXプロモーターのメチル化は、HER2陽性および進行性リンパ節転移と有意に関連していた。
本人担当部分:研究指導の一部分を行った。
共著者:Kikuchi M, Katoh H, Waraya M, Tanaka Y, Ishii S, Tanaka T, Nishizawa N, Yokoi K, Minatani N, Ema A, Kosaka Y, Tanino H, Yamashita K, Watanabe M.

 

45.Gemcitabine and Vinorelbine Combination Chemotherapy in Taxane-Pretreated Patients with Metastatic Breast Cancer: A Phase II Study of the Kinki Multidisciplinary Breast Oncology Group (KMBOG) 1015(タキサン系抗がん剤治療転移性乳がん患者におけるゲムシタビンおよびビノレルビン併用化学療法。近畿集学的乳癌研究会(KMBOG)1015の第II相試験)(査読付)共著平成29年5月Chemotherapy.62(5):307-313タキサン系薬剤で既治療の転移性乳癌患者を対象に、ゲムシタビン、ビノレルビン併用化療の有効性と安全性を評価する多施設共同第II相試験を行った。42名の患者登録で客観的奏効率は24%、臨床的有用率は43%で、無増悪生存期間の中央値は4.0カ月。全生存期間中央値は11.1カ月であった。グレード3/4の好中球減少が最も一般的な血液学的毒性で、22人(54%)に発現した。非血液毒性は疲労(48%)が最も多く見られ、重篤な有害事象は報告されていない。
本人担当部分:症例登録を行った。
共著者:Yamamura J, Masuda N, Yamamoto D, Tsuyuki S, Yamaguchi M, Tanaka S, Tsurutani J, Tokunaga S, Yoshidome K, Mizutani M, Aono T, Ooe A, Tanino H, Matsunami N, Yasojima H, Nakayama T, Nishida Y.

 

46.Survival outcomes of neoadjuvant chemotherapy with zoledronic acid for HER2-negative breast cancer(HER2陰性乳癌に対するゾレドロン酸を用いたネオアジュバント化学療法の生存率推移)(査読付)共著平成29年12月J Surg Res. 220:46-51.HER2陰性乳癌の術前化学療法(CT)群とCT+ゾレドロン酸(CT-Z)群の第2相無作為化比較試験を行った。CT群は、FEC100を4サイクル投与し、その後パクリタキセルを週1回12サイクル投与した。CT-Z群にはZOL(4mg)を週3-4回、7週間投与した。188名の患者を2群に割付け、3-yの無病生存率(DFS)はCT群で84.6%、CT-Z群で90.8%であった(P = 0.188)。トリプルネガティブ乳癌患者において、完全消失率も改善したが、DFSはCT群70.6%、CTZ群94.1%と良好であった。
本人担当部分:症例の登録と研究指導の一部分を行った。
共著者:Ishikawa T, Akazawa K, Hasegawa Y, Tanino H, Horiguchi J, Miura D, Hayashi M, Kohno N.

 

47.Lymph node metastasis and high serum CEA are important prognostic factors in hormone receptor positive and HER2 negative breast cancer(ホルモン受容体陽性およびHER2陰性乳癌におけるリンパ節転移と血清CEAの高値は重要な予後因子である)(査読付)共著平成30年5月Mol Clin Oncol. 9(5):566-574.乳癌の再発予後を過去の治療成績と比較検討した。2006年―2009年3月に北里大学病院で手術を受けた0-III期の乳がん患者662例を4つのサブタイプに分類し、再発と予後に関連する因子を検討した。5年無再発生存率(RFS)は94.9%、5年疾患特異的生存率(DSS)は98.4%であった。RFSに関連する因子は、病理学的リンパ節(pN)陽性[ハザード比(HR)=2.85、P=0.001]、ホルモン受容体陰性(HR=1.83、P<0.05)であった。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Kosaka Y, Minatani N, Tanaka Y, Shida A, Kikuchi M, Nishimiya H, Waraya M, Katoh H, Sato T, Sengoku N, Tanino H, Yamashita K, Watanabe M.

 

48.Risk Analysis for Chemotherapy-induced Nausea and Vomiting (CINV) in Patients Receiving FEC100 Treatment(FEC100投与患者における化学療法誘発性吐き気・嘔吐(CINV)のリスク解析について)(査読付)共著令和1年8月Anticancer Res. 39(8):4305-4314.乳癌患者に対するアントラサイクリン含有レジメンによる化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)のリスクファクターを検討した。臨床試験で、FEC(エピルビシン、5FU、エンドキサン)治療を受けた180名のCINVイベントと患者背景データを収集した。制吐剤(AD)は4カテゴリーに分類され、BMIは3カテゴリーに層別化した。CINVのリスクは単変量解析および多変量解析で分析した。両解析で、吐き気ではBMI が有、嘔吐では BMI と ADs の組み合わせで有意差が認められた。
本人担当部分:症例登録を行った。
共著者:Hayashi M, Nakazawa K, Hasegawa Y, Horiguchi J, Miura D, Ishikawa T, Takao S, Kim SJ, Yamagami K, Miyashita M, Konishi M, Shigeoka Y, Suzuki M, Taguchi T, Kubota T, Tanino H, Yamada K, Narui K, Kimura K, Akazawa K, Kohno N; JONIE STUDY GROUP.

 

49.Antibody-Conjugated Signaling Nanocavities Fabricated by Dynamic Molding for Detecting Cancers Using Small Extracellular Vesicle Markers from Tears(涙の細胞外小胞マーカーを用いたがん検出のためのダイナミックモールド法による抗体結合型シグナル伝達ナノキャビティの作製)(査読付)共著令和2年3月J Am Chem Soc. 8;142(14):6617-6624. 小型細胞外小胞(sEV)は有用な癌マーカーだが、従来の検出方法は感度が低く、前処理や分析に時間が必要であった。我々は、抗体結合型シグナル伝達ナノキャビティ法を開発し、前処理不要で迅速、高感度なsEV検出法を確立した。従来の約1000倍の解離定数であり、涙を用いたsEVの検出では世界初である。健常者、乳がん患者の術前後の試料を明確に区別することができた。現在臨床試験の計画中である。
本人担当部分:研究指導の一部分を行った。
共著者:Takeuchi T, Mori K, Sunayama H, Takano E, Kitayama Y, Shimizu T, Hirose Y, Inubushi S, Sasaki R, Tanino H.

 

50.BRCAness as an Important Prognostic Marker in Patients with Triple-Negative Breast Cancer Treated with Neoadjuvant Chemotherapy: A Multicenter Retrospective Study(術前化学療法を受けたトリプルネガティブ乳癌患者における重要な予後マーカーとしてのBRCAness。多施設共同レトロスペクティブ研究)(査読付)共著令和2年2月Diagnostics  21;10(2):119. BRCAnessは、BRCA1機能不全がもたらすDNA修復不全の形質であり、多施設共同研究において、BRCAnessのトリプルネガティブ乳がんにおける臨床的意義を評価した。3つの大学病院の術前化療後、病理学的非完全奏効(non pCR)の49例でBRCAnessを評価した。BRCAness群は非BRCAness群に比べ、無再発生存期間と全生存期間が有意に短かく、術後non pCR症例の予後予測マーカーであることが明らかになった。現在、BRCAnessとカルボプラチンの再発抑制効果を評価する臨床試験が行われている。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Kosaka Y, Yamamoto Y, Tanino H, Nishimiya H, Yamamoto-Ibusuki M, Hirota Y, Iwase H, Nakamura S, Akashi-Tanaka S.

 

51.Eribulin Regresses a Cisplatinum-resistant Rare-type Triple-negative Matrix-producing Breast Carcinoma Patient-derived Orthotopic Xenograft Mouse Model(エリブリンがシスプラチナ抵抗性の希少型トリプルネガティブマトリクス産生乳がん患者由来オーソトピック異種移植マウスを退縮させる)(査読付)共著令和2年5月Anticancer Res. 40(5):2475-2479.マトリックス産生乳癌(MPBC)は、希少で悪性度の高いトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。患者由来同所異種移植(PDOX)モデルを用いて、トリプルネガティブMPBCに対する薬剤効果を検討した。左第2乳腺に腫瘍を移植した。4群(対照群、シスプラチン(DDP)群、パクリタキセル(PAC)群、エリブリン(ERI)群)に割り付けた。DDPに抵抗性であった(p=0.800)。PACは対照群に比べ腫瘍の成長を抑制した(p=0.009)。しかし、ERIだけが腫瘍を退縮させた(p=0.001)。
本人担当部分:研究指導の一部分を行った。
共著者:Yamamoto J, Murata T, Sugisawa N, Higuchi T, Tashiro Y, Nishino H, Inubushi S, Sun YU, Lim H, Miyake K, Shimoya K, Nomura T, Kurebayashi J, Tanino H, Hozumi C, Bouvet M, Singh SR, Endo I, Hoffman RM.

 

52.A Triple-negative Matrix-producing Breast Carcinoma Patient-derived Orthotopic Xenograft (PDOX) Mouse Model Is Sensitive to Bevacizumab and Vinorelbine, Regressed by Eribulin and Resistant to Olaparib(トリプルネガティブで、マトリックス産生乳がん患者由来同所移植xenograft (PDOX)は、BevacizumabとVinorelbineに感受性、Eribulinで消失、Olaparibに抵抗性を示した)(査読付)共著令和2年5月Anticancer Res. 40(5):2509-2514. マトリックス産生乳癌(MPBC)は、稀で悪性度の高いトリプルネガティブ乳癌である。患者腫瘍のMPBCをヌードマウスの左第2乳腺に同所移植した。5群(無治療、ベバシズマブ、ビノレルビン、オラパリブ、エリブリン)の各治療群に5匹割り当てた。オラパリブに抵抗性であった(p=0.22)。エリブリンは、オラパリブ(p=0.0001)、ベバシズマブ(p=0.0025)、ビノレルビン(p=0.0061)より有効であった。エリブリンは、PARP阻害剤抵抗性腫瘍に有効な可能性がある。
本人担当部分:研究指導の一部分を行った。
共著者:Yamamoto J, Murata T, Tashiro Y, Higuchi T, Sugisawa N, Nishino H, Inubushi S, Sun YU, Lim H, Miyake K, Hongo A, Nomura T, Saitoh W, Moriya T, Tanino H, Hozumi C, Bouvet M, Singh SR, Endo I, Hoffman RM.

 

53.Co-implantation of Tumor and Extensive Surrounding Tissue Improved the Establishment Rate of Surgical Specimens of Human-Patient Cancer in Nude Mice: Toward the Goal of Universal Individualized Cancer Therapy(腫瘍と広範な周辺組織の共移植により、ヒト患者がん手術標本のヌードマウスへの定着率が向上:普遍的な個別化がん治療の実現に向けて)(査読付)共著令和2年6月In Vivo. 34(6):3241-3245. ヌードマウス人腫瘍モデルは有用ではあるが生着率が低いのが問題である。生着率を上げるため、ヌードマウスの皮下に手術で得られた腫瘍とともに周辺組織を移植した。新しい移植方法は、手術した腫瘍標本を周辺組織を除去して移植する旧来の方法(14%)に比べ、ヌードマウスでの生着率を66%に高めた。本法は、手術や生検を受けたがん患者が、患者各自のがん組織のマウスモデルで投与前に薬剤の効果を予見できる可能性がある。
本人担当部分:研究指導の一部分を行った。
共著者:Murata T, Hozumi C, Hiroshima Y, Shimoya K, Hongo A, Inubushi S, Tanino H, Hoffman RM.

 

54.Oncogenic miRNAs Identified in Tear Exosomes From Metastatic Breast Cancer Patients(転移性乳がん患者の涙液エクソソームに含まれる発がん性miRNAの同定)(査読付)共著令和2年6月Anticancer Res. 40(6):3091-3096. エクソソーム(EXO)はがん患者の血清中に含まれ、診断や予後に利用されている。転移性乳がん患者5名と健常者8名の涙液中EXOからえられた乳がん関連miRNAをqRT-PCRおよびウェスタンブロット解析にて比較した。涙液EXOは、血清EXOと比較して、EXOマーカー(CD9、CD63)を有意に多く含んでいた。乳がん特有とされているmiR-21およびmiR-200cは、転移性乳がん患者では、健常ボランティアより高発現であった。涙液で癌診断を行える可能性が示唆された。
本人担当部分:論文作成指導を行った。
共著者:Inubushi S, Kawaguchi H, Mizumoto S, Kunihisa T, Baba M, Kitayama Y, Takeuchi T, Hoffman RM, Tanino H, Sasaki R.

 

55.Prediction of pathological complete response after neoadjuvant chemotherapy in breast cancer by combining magnetic resonance imaging and core needle biopsy(磁気共鳴画像とコアニードル生検の併用による乳癌ネオアジュバント化学療法後の病理学的完全奏功の予知)(査読付)共著令和2年10月Surg Oncol. 35:447-452. ホルモン受容体陰性乳癌では、術前化学療法(NAC)により病理学的完全奏効(pCR)が得られることが多い。MRIにより完全臨床効果(cCR)と診断された症例において、NAC後に針生検(CNB)を追加し、pCRを予測できるか検討した。手術時にCNBを行った。83例のうち、41例がypT0、17例がypTisであった。針生検によるypT0+ypTis予測の偽陰性率,感度,特異度はそれぞれ28.0%,72.0%,98.3%であった。cMRIで診断されたcCR症例の針生検ではpCRを予測するのに十分な精度を得られなかった。
本人担当部分:症例登録を行った。
共著者:Narui K, Ishikawa T, Oba MS, Hasegawa Y, Kaise H, Kawate T, Yamada A, Yamada K, Suzuki Y, Niikura N, Kohno N, Kimoto T, Sugae S, Kosaka Y, Miyashita M, Okamura T, Shimizu D, Tanino H, Tanabe M, Morita S, Endo I, Tokuda Y.

 

56.A Universal Gelfoam 3-D Histoculture Method to Establish Patient-derived Cancer Cells (3D-PDCC) Without Fibroblasts from Patient-derived Xenografts(患者由来異種移植片から線維芽細胞を除いた患者由来癌細胞(3D-PDCC)を樹立するための汎用ゲルフォーム3次元組織培養法)(査読付)共著令和2年12月Anticancer Res. 40(12):6765-6768.患者由来のがん細胞培養株(PDCC)の樹立は困難で、PDCCを普遍的かつ効率的な方法を開発することを目的に研究を行った。大腸癌肝転移より樹立した患者由来異種移植(PDX)腫瘍の断片(1mm3)をGelfoam上に置き、DMEMで培養した。がん細胞は摘出片から移動し、Gelfoam中で明瞭な3次元構造を形成し、繊維芽細胞を含まず、1つのGelfoamキューブから他のキューブへ容易に継代でた。PDX腫瘍と3次元Gelfoam組織培養を用いたPDCCの臨床応用前段階である。
本人担当部分:研究指導の一部分を行った。
共著者:Yamamoto J, Sugisawa N, Hamada K, Nishino H, Miyake K, Matsuyama R, Inubushi S, Tanino H, Bouvet M, Endo I, Hoffman RM.

 

57.Investigation of a Novel S-1 Administration Schedule for Treating Metastatic and Recurrent Breast Cancer (KBCOG13)(転移・再発乳癌に対する新規S-1投与スケジュールの検討 (KBCOG13))(査読付)共著令和3年6月Anticancer Res 6.,121-3126.  5-FU系抗がん剤S-1は、乳がん治療では4週間投与、2週間休薬で使用されてきたが、転移性乳癌患者を対象に、2週間投与1週間休薬の有効性と安全性を検討した。32人を追跡(中央値32.1カ月)した。無増悪生存期間の中央値は9.4カ月。全生存期間は41.0カ月、奏効率は31.3%、病勢コントロール率は78.1%であった。グレード3の副作用の発生率は高くなかった。S-1の3週間投与は、転移性乳癌患者に対する治療法として有用であり、高いQOLを維持するのに役立つ。Miki M, Takao S, Konishi M, Shigeoka Y, Miyashita M, Suwa H, Miyoshi Y, Hirokaga K, Okuno T, Yamagami K, Imamura M, Murase K, Yanai A, Tanino H.

 

58.Identification of Breast Cancer Stem Cells Using a Newly Developed Long-acting Fluorescence Probe, C5S-A, Targeting ALDH1A1(ALDH1A1を標的とした新規長時間作用型蛍光プローブC5S-Aによる乳がん幹細胞の同定)(査読付)共著令和4年3月Anticancer Res.
42 1199-1205乳がんの自己複製能と多剤耐性を特徴とするがん幹細胞(CSC)のマーカーであるアルデヒド脱水素酵素(ALDH)1A1を生細胞で観察・解析するために近赤外ターンオン蛍光プローブC5S-Aを開発した。C5S-Aと従来の幹細胞マーカーとの一致を評価するため、ALDEFLUOR陽性細胞とCD44+/CD24-細胞集団についてソーティングした乳がん細胞をC5S-Aで染色した。その結果、C5S-A染色は、従来の乳がんCSCマーカーと一致し、乳がん細胞株における腫瘍形成などのCSC特性に関する研究に有用であった。Okamoto A, Funakoshi Y, Oe M, Takai R, Suto H, Nagatani Y, Nishimura M, Imamura Y, Kunihisa T, Kiyota N, Miki K, Ohe K, Tanino H, Minami H.

 

59.Size Dependency of Selective Cellular Uptake of Epigallocatechin Gallate-modified Gold Nanoparticles for Effective Radiosensitization(エピガロカテキンガレート修飾金ナノ粒子のサイズ依存的な細胞内取り込みによる効果的な放射線増感機構の解明)(査読付)共著令和4年5月ACS Appl Bio Mater.
17 355-365金ナノ粒子(AuNP)は、放射線療法に有望である。(緑茶の主要な抗酸化成分であるエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)は、強力な抗腫瘍効果を持ち、HeLaやMDA-MB-231細胞などのいくつかの癌細胞株の表面に過剰発現している67kDaラミニン受容体に特異的に結合する。我々は、EGCG修飾AuNPs(EGCG-AuNPs)を合成した。EGCG-AuNPs (1:2) (直径39 nm) はMDA-MB-231細胞の取り込みが多かった。MDA-MB-231細胞において、EGCG-AuNPsを取り込んだ後にX線を照射すると、照射による細胞死が有意に促進された。Gan N, Wakayama C, Inubushi S, Kunihisa T, Mizumoto S, Baba M, Tanino H, Ooya T.

 

60  Koyama T, Funakoshi Y, Imamura Y, Nishimura S, Fujishima Y, Toyoda M, Kiyota N, Tanino H, Minami H. Device-related Mycobacterium mageritense Infection in a Patient Treated with Nivolumab for Metastatic Breast Cancer. Intern Med. 2021 Nov 1;60(21):3485-3488.

 

61  Yamamoto Y, Yamashiro H, Toh U, Kondo N, Nakamura R, Kashiwaba M, Takahashi M, Tsugawa K, Ishikawa T, Nakayama T, Ohtani S, Takano T, Fujisawa T, Toyama T, Kawaguchi H, Mashino K, Tanino Y, Morita S, Toi M, Ohno S. Prospective observational study of bevacizumab combined with paclitaxel as first- or second-line chemotherapy for locally advanced or metastatic breast cancer: the JBCRG-C05 (B-SHARE) study. Breast Cancer. 2021 Jan;28(1):145-160.

 

62  Okamoto A, Funakoshi Y, Oe M, Takai R, Suto H, Nagatani Y, Nishimura M, Imamura Y, Kunihisa T, Kiyota N, Miki K, Ohe K, Tanino H, Minami H. Anticancer Res. Identification of Breast Cancer Stem Cells Using a Newly Developed Long-acting Fluorescence Probe, C5S-A, Targeting ALDH1A1. 2022 Mar;42(3):1199-1205.

 

63  Yamamoto M, Kunihisa T, Baba M, Mizumoto S, Yamashita Y, Miki M, Inubushi S, Okamoto A, Fujimoto R, Tanino H. A Rare Case of Bilateral Pectoralis Major Muscle Defect and Abnormal Muscle. Case Rep Oncol. 2022 Mar 30;15(1):351-355.

 

64  Gan N, Wakayama C, Inubushi S, Kunihisa T, Mizumoto S, Baba M, Tanino H, Ooya T. Size Dependency of Selective Cellular Uptake of Epigallocatechin Gallate-modified Gold Nanoparticles for Effective Radiosensitization. ACS Appl Bio Mater. 2022 Jan 17;5(1):355-365.

 

65  Mizumoto S, Inubushi S, Miki M, Nakamura H, Baba M, Yamashita Y, Yamamoto M, Inoue S, Tanino H, Kunihisa T. Target-Oriented Classification of Triple-negative Breast Cancer. Anticancer Res. 2023 Nov;43(11):5067-5072.

 

66  Inubushi S, Kunihisa T, Mizumoto S, Inoue S, Miki M, Suetsugu A, Tanino H, Hoffman RM. Methionine Restriction Increases Exosome Production and Secretion in Breast Cancer Cells. Cancer Genomics Proteomics. 2023 Sep-Oct;20(5):412-416.

 

(その他)    

症例報告論文    

1.A case of granulomatous mastitis mimicking breast carcinoma(乳癌に擬態した肉芽腫性乳腺炎の一例)(査読付)共著平成14年3月Breast Cancer. 2002;9(3):265-8. 乳癌を模倣した特発性肉芽腫性乳腺炎を呈した58歳女性について述べる。腫瘤は弾力性があり,マンモグラフィー、超音波検査、磁気共鳴画像装置(MRI)により悪性腫瘍が強く示唆された。摘出生検を行い,病理組織学的に特発性肉芽腫性乳腺炎ち判明した。術後は副腎皮質ホルモンを使用しなかったが,創傷合併症や再発は確認されていない。本症例は高齢者では稀であり,マンモグラフィ,超音波検査,MRIでは肉芽腫性乳腺炎と癌の鑑別にはほとんど情報が得られない。
本人担当部分:治療の一部を担った。
共著者:Teruhisa Sakurai, Shoji Oura, Hirokazu Tanino, Tatsuya Yoshimasu, Yozo Kokawa, Takahiro Kinoshita, Yoshitaka Okamura

 

2.Chyle leakage after axillary node sampling in a patient with breast cancer: a case report(乳癌患者における腋窩リンパ節サンプリング後の乳び瘻:症例報告)(査読付)共著平成22年6月Surg Case Rep. 1;6(1):119. 80歳女性は、左乳房の浸潤性小葉癌に対し、乳房温存手術と腋窩センチネルリンパ節の生検を受けた。センチネルリンパ節3個のうち2個ががん陽性のため、その後、追加で腋窩外側リンパ節7個を摘出した。術後11日目に左腋窩部および乳房の腫脹を認め,腋窩穿刺により670mLの乳び瘻と診断した。保存的治療無効ため外科的治療を行った。手術はリンパ管結紮により乳び瘻は完全に消失した。
本人担当部分:論文作成指導を行った。
共著者:Norio Kohno, Takeo Kimoto, Akiko Okamoto, Hirokazu Tanino

 

3.Device-related Mycobacterium mageritense Infection in a Patient Treated with Nivolumab for Metastatic Breast Cancer(転移性乳癌に対してニボルマブを投与された患者における機器関連マイコバクテリウム・マゼリテンセ感染について)(査読付)共著平成23年5月Intern Med 1;60(21):3485-3488.抗PD-1抗体による治療は、免疫関連有害事象(irAE)と呼ばれる特異的な自己免疫毒性を引き起こす可能性があります。irAEはよく知られていますが、この治療による感染症の発症はあまり観察されません。最近の報告では、抗PD-1抗体を投与された患者は、他の患者よりも結核のリスクが高いという報告もあります。しかし、抗PD-1抗体治療中の非結核性抗酸菌感染症の報告はまだ少ない。本論文では,抗PD-1抗体治療中にMycobacterium mageritenseに感染した最初の症例を報告する。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Taiji Koyama, Yohei Funakoshi, Yoshinori Imamura, Sho Nishimura, Yoshimi Fujishima, Masanori Toyoda, Naomi Kiyota, Hirokazu Tanino, Hironobu Minami

 

4.A Rare Case of Bilateral Pectoralis Major Muscle Defect and Abnormal Muscle(大胸筋の両側欠損と異常筋を併発した稀有な症例)(査読付)共著令和4年3月Case Reports in Oncology 15, 351-35556歳女性,左乳癌の患者が当院を受診した。術前CT検査で孤立性両側大胸筋欠損と胸骨全体から起始し肋骨下部と直腸鞘に挿入する異常筋を認めた。乳房全摘出術と腋窩リンパ節郭清が行われた。本例は特異な症例であり、他にこのような症例は報告されていないと考えている。大胸筋に欠損がある場合、ティッシュエキスパンダーによる再建手術は禁忌である。したがって、術前に画像で胸壁筋の評価を行うことが推奨される。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Mayuko Yamamoto, Tomonari Kunihisa, Motoi Baba, Sachiko Mizumoto, Yuji Yamashita, Mayuko Miki, Sachiko Inubushi, Aoi Okamoto, Ryuhei Fujimoto, Hirokazu Tanino

 

最近の国際学会発表】   

1.BRCAness and prognosis of triple-negative breast cancer patients treated with neoadjuvant chemotherapy.(術前化学療法を受けたトリプルネガティブ乳がん患者のBRCAnessと予後。)共著-ポスター平成29年6月ASCO ANNUAL MEETNG(第53回 シカゴ)多施設共同レトロスペクティブ研究において、BRCAnessの臨床的意義を評価した。3病院から術前化療を受けたトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者94例のBRCAnessは、NAC前のコアニードル生検(CNB)標本と手術標本で0.5倍以上をBRCAnessと判定した。pCR(ypT0/Tis/N0)率は46%であった。再発は22例で、うち11例が乳癌で死亡した。CNB標本のBRCAnessでは、pCR率、再発率ともに大きな差はなかった。Non pCR患者51名の手術標本では19名がBRCAness、非BRCAnessが31名でBRCAnessに再発が多かった。術前化療後のBRCAnessは予後を予見できる。
本人担当部分:研究実施の主要部分を行った。
共著者:Sadako Akashi-Tanaka, Yuichi Tanino, Yutaka Yamamoto, Hiroshi Nishimiya, Mutsuko Yamamoto-ibusuki, Hirotaka Iwase, Seigo Nakamura

 

2.Phase 3 trial of carboplatin in triple negative breast cancer (TNBC) patients with residual invasive carcinoma after neoadjuvant chemotherapy (JONIE4:J-CAT trial)(ネオアジュバント化学療法後に浸潤癌が残存したトリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者を対象としたカルボプラチンの第3相試験(JONIE4:J-CAT試験))共著ーポスター平成30年12月San Antonio Breast Cancer Symposium(第41回サンアントニオ)実施中臨床試験の発表。BRCAnessテストを用いて、術前化学療法後の非pCRの手術標本を用いて、BRCAnessとSporadicに分類した。BRCAness群の再発率は約70%であった。カルボプラチンはDNA損傷による抗腫瘍作用があるため、BRCAness腫瘍に有効であると期待される。本研究では、アントラサイクリンとタキサンの両方を含む術前化学療法を受けた手術後の残存浸潤癌を有するTNBCを登録する。BRCAnessを確認し割り付け因子として、カルボプラチン投与群と観察群で無病生存期間を比較するオープンラベルの無作為化第III相試験である。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Tanino H, Suzuki M, Kaise H, Miyashita M, Chishima T, Hayashi M, Miyoshi Y, Futamura M, Ohtani S, Nagahashi M, Ohta T, Kosaka Y, Ishikawa T, Hasegawa Y, Kubota T, Sangai T, Iwatani T, Yamada A, Akazawa K, Kohno N.

 

3.BRCAness as a prognostic marker in triple-negative breast cancer patients treated with neoadjuvant chemotherapy: A multicenter retrospective study(ネオアジュバント化学療法を受けたトリプルネガティブ乳癌患者における予後マーカーとしてのBRCAness。多施設共同レトロスペクティブ研究)共著ーポスター平成30年12月San Antonio Breast Cancer Symposium(第41回サンアントニオ)BRCAnessは、BRCA1機能不全がもたらすDNA修復不全の形質であり、多施設共同研究において、BRCAnessのトリプルネガティブ乳がんにおける臨床的意義を評価した。3つの大学病院の術前化療後、病理学的非完全奏効(non pCR)の49例でBRCAnessを評価した。BRCAness群は非BRCAness群に比べ、無再発生存期間と全生存期間が有意に短かく、術後non pCR症例の予後予測マーカーであることが明らかになった。現在、BRCAnessとカルボプラチンの再発抑制効果を評価する臨床試験が行われている。
本人担当部分:研究指導の主要部分を行った。
共著者:Kosaka Y, Yamamoto Y, Tanino H, Nishimiya H, Yamamoto-Ibusuki M, Hirota Y, Iwase H, Nakamura S, Akashi-Tanaka S.

 

4.Risk Analysis for Chemotherapy-induced Nausea and Vomiting (CINV) in Patients Receiving FEC100 Treatment(FEC100投与患者における化学療法誘発性吐き気・嘔吐(CINV)のリスク解析について)共著ーポスター平成30年12月San Antonio Breast Cancer Symposium(第41回サンアントニオ)乳癌患者に対するアントラサイクリン含有レジメンによる化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)のリスクファクターを検討した。臨床試験で、FEC(エピルビシン、5FU、エンドキサン)治療を受けた180名のCINVイベントと患者背景データを収集した。制吐剤(AD)は4カテゴリーに分類され、BMIは3カテゴリーに層別化した。CINVのリスクは単変量解析および多変量解析で分析した。両解析で、吐き気ではBMI が有、嘔吐では BMI と ADs の組み合わせで有意差が認められた。
本人担当部分:症例登録を行った。
共著者:Hayashi M, Nakazawa K, Hasegawa Y, Horiguchi J, Miura D, Ishikawa T, Takao S, Kim SJ, Yamagami K, Miyashita M, Konishi M, Shigeoka Y, Suzuki M, Taguchi T, Kubota T, Tanino H, Yamada K, Narui K, Kimura K, Akazawa K, Kohno N; JONIE STUDY GROUP.

  • Facebook のアイコン
  • Twitter のアイコン
bottom of page