『「手術のせいにしない」と決めたら、新しい毎日が始まった。―乳がんサバイバーが本当に知りたかった、体と心の整え方―』
- 裕一 谷野
- 7月15日
- 読了時間: 7分
はじめに
● 本書が生まれるまで:オフ会での会話から見えてきたこと
○ 乳がん体験者が本当に知りたいのは、断片的な情報ではなく、経験者のリアルな声と専門家による「羅針盤」であること。
○ 本書は、乳がん専門医と体験者の率直な対話の中から生まれた、体と心のセルフケア、そして未来への希望を見出すための実践書です。
● 本書の目的:自分でコントロールできることに集中し、あなたらしい人生を取り戻す
○ 不安や情報に振り回される日々から抜け出し、「自分の体は自分で守り、整える」という主体的な姿勢を持つことの重要性を伝えます。
○ 治療を乗り越え、自分らしく輝くための具体的なヒントとエールを贈ります。
第1章:手術とアピアランス ― 不安を乗り越え、最初の一歩を踏み出す
手術という大きな出来事と、それに伴う外見の変化。誰もが抱える不安を、正しい知識と具体的な準備で「乗り越えられる課題」に変えていく章です。
● 1-1. 手術室の中で起きていること、専門医がこっそり教えます
○ 「寝ている間に何をされているの?」という素朴な疑問に答えます。
○ 部分切除、全摘手術で皮膚や神経がどうなるのか、なぜ感覚が鈍くなったり痛みが出たりするのかを、平易な言葉で図解も交えて解説します。
○ 「こんなに大変なことを乗り越えたんだ」という納得感が、術後の自分を受け入れる力になります。
● 1-2. アピアランスケアは「社会とつながる」ための準備運動
○ ウィッグや下着選びは、単なる外見ケアではありません。社会との接点を持ち続けるための大切な準備です。
○ 「これ、どう?」の一言が、周囲との壁を取り払う魔法の言葉になることも。 カミングアウトするかしないか、それぞれの選択を尊重しつつ、楽になるためのヒントを提案します。
● 1-3. 家族や高齢の親が乳がんになったとき
○ 高齢者の治療で特に気をつけたいこと(ハーセプチンと心毒性など)。
○ 自覚症状が出にくいケースもあるため、家族として知っておきたい観察のポイントを解説します。
第2章:「手術のせい」にしない生き方 ― 体を動かし、心を整えるセルフケア術
治療中や治療後の不調を「仕方のないこと」と諦めない。自分で自分の体をコントロールする感覚を取り戻すための、最も効果的で実践的な方法を提案します。
● 2-1. 術後の痛みは「伸ばして」治す。ガチガチの体を解放する魔法のストレッチ
○ 手術で縮こまった体を「じっとしている」のは逆効果。
○ 医師が勧める、ひきつれや痛みを和らげるための具体的なストレッチ方法を写真やイラスト付きで紹介します(坐骨神経痛の例も参考に)。
○ 「痛いから動かない」のではなく「動かさないから固まって痛くなる」という逆転の発想。
● 2-2. 最高の副作用対策は「運動」だった
○ 「しんどい時こそ動いた方が楽になる」は医学的な事実です。
○ 運動が再発率を大幅に下げるという驚きのデータ(大腸がんでは27%減など)を紹介し、モチベーションを高めます。
○ 抗がん剤治療後の倦怠感や不眠の改善にも運動が最も効果的であることを伝えます。
● 2-3. 「自分の体は自分で治す」と決める
○ 体の不調をすべて「手術のせい」にせず、自分でコントロールできることがあると知るだけで、心は軽くなります。
○ 自分の体に合ったセルフケアを見つけ、主体的に取り組むことの大切さを伝えます。
第3章:情報の波に溺れない ― "対処できない不安"の手放し方
スマートフォンを開けば、玉石混交の情報が溢れる現代。不安を煽る情報から自分を守り、心を穏やかに保つための思考法を学びます。
● 3-1. その情報、本当にあなたの"得"になりますか?
○ 乳房の大きさ、BMI、体質など、自分で変えられないことで不安になっていませんか?
○ 「気になるけど対処できないこと」を溜め込むことが、自分で不幸を作り出している原因かもしれません。
○ 情報の真偽よりも「その情報を気にすることで、自分に良いことがあるか?」と自問する習慣を提案します。
● 3-2. "検索"する前に考えてほしいこと
○ なぜその情報が気になるのか?(不安の根源を探るワーク)
○ 情報を発信する側の意図(ビジネス目的など)を想像してみる。
○ 「知らない」「わからない」と専門家が言うことの意味を理解し、過度に気にしない強さを持つ。
● 3-3. 主治医を「最高の味方」にするコミュニケーション術
○ 限られた診察時間で的確な情報を得るための準備(質問メモ、お薬手帳など)。
○ 医師や看護師に事前に話を聞いてもらうことで、診察がスムーズになり満足度も上がるという事例を紹介します。
第4章:再発への不安を「未来への希望」に変える
「もしも」の不安はゼロにはならないかもしれません。しかし、正しい知識と未来への視点を持つことで、過剰な恐怖を「今を大切に生きる力」に変えることができます。
● 4-1. 知っておきたい「骨転移」の正しい知識
○ 症状、検査、治療法について、専門医の解説を基に分かりやすくまとめます。
○ いたずらに怖がるのではなく、正しく知ることが安心につながります。
● 4-2. エクオール、臨床試験…進化する治療の今
○ 関節痛に悩む人への「エクエル」の臨床試験など、具体的な最新情報を紹介。
○ 過去の患者さんたちの貢献(治験参加)のおかげで今の治療があること、そして今度は自分たちが未来の患者さんのために貢献できる可能性があることを伝えます。
○ 臨床試験への参加を考える際のポイント、同意説明文書の読み方など、患者目線での注意点を解説します。
● 4-3. 世界と日本の乳がん治療
○ 欧米とアジアでの発症傾向の違いや、人種による体質の違い(糖尿病リスクなど)を知ることで、自分に合った生活習慣を見直すきっかけを提供します。
○ ドラッグラグ・ドラッグロスの問題など、日本の医療が抱える課題についても触れ、患者として何ができるかを考えます。
第5章:がんと共に「働く・暮らす」をデザインする
治療と社会生活の両立は大きなテーマです。無理なく、自分らしく働き、暮らしていくための具体的な方法と、社会全体で考えるべき課題を提示します。
● 5-1. 治療と仕事、どうすれば両立できる?
○ 「フルタイムで働き続ける」だけが選択肢ではありません。
○ 回復を早めるためには、時短勤務などで体力を温存し、運動する時間を作ることが結果的に会社のためにもなる、という視点を提案します。
○ 職場への伝え方のヒント(一年生同士という考え方)。
● 5-2. 医療機関の「待ち時間問題」、実は解決できるかも?
○ 病院の集約化で待ち時間が増えるのでは?という不安に対し、運営の効率化で解決できる問題であることを解説します。
● 5-3. 社会を動かすのは、あなたの「声」
○ 企業経営者や社会全体への啓発の必要性。
○ がん対策推進協議会など、患者が声を届ける具体的なルートがあることを紹介し、当事者が声を上げることの重要性を訴えます。
第6章:あなたの人生の「最終章」は、あなたが決める
病気を経験したからこそ、より深く考える「これからの生き方」。自分らしい最期を迎えるための準備について、家族と共に考える章です。
● 6-1. もしもの時、どうしてほしい?「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」という対話
○ 台湾の先進的な事例(ACP外来、法的根拠を持つ意思表示)を紹介します。
○ 延命治療について、家族間で意見が分かれることのリアル。
○ 元気なうちに、自分の希望を家族と話し合っておくことの大切さを伝えます。
● 6-2. 「防御的医療」と「本人の意思」の狭間で
○ 日本の医療現場では、訴訟リスクを避けるために本人の意思に反した延命治療が行われがちであるという現実を伝えます。
○ 自分の意思を尊重してもらうために、今からできる準備について考えます。





コメント