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乳癌の治療

 Page 6 補助療法の一般論
 

 手術後に行う化学療法やホルモン療法を補助療法と呼びます(最近は手術前にすることもあります)。今までは、施設ごとにバラバラの治療が行われてきましたが、最近ではSt. Gallenのconsensus and recommndationに従った治療内容を選択する病院が増えてきたように思われます。

 1998年2月25日から28日まで、スイスのSt. Gallenで、乳がんの補助療法に関する国際会議が開催されました。このカンファレンスは、3年に1回、同地で開催されます。次は2001年。このカンファレンスは、様々な段階にある原発乳がんの治療、特に術後補助療法に関して、世界の乳がん診療専門家(パネルメンバー)が一同に会しコンセンサスを形成するものです。

 ここでは、再発リスクのカテゴリーと、それに基づく補助療法のサマリーのTableの一部分を紹介します。
 

 
COMENTARY

Meeting Highlights: International Consensus Panel on the Treatment of Primary Breast Cancer

Journal of the National Cancer Institute, Vol. 90, No. 21, November 4, 1998 p1601-8


リンパ節転移陰性の乳がん患者のリスクカテゴリー
因子#
低リスク群

以下のすべてに該当

中リスク群

低・高の間に属する

高リスク群

以下のいずれかに該当

腫瘍の大きさ##
≦1cm
>1-2cm
>2cm
ER/PgR*
どちらか(+)
どちらか(+)
どちらも(-)
グレード**
1
1-2
3
年齢$
35歳以上
 
35歳未満
#数名のパネルメンバーは「脈管侵襲」がリスクを高める重要な因子のひとつと認識している。 

##病理学的な腫瘍の大きさ(浸潤部分の大きさなど)は、再発のリスクを増加させる重要な予測的因子であることは、パネルメンバーによって広く同意された。 

*ER = エストロゲンレセプタ; PgR = プロゲステロンセプタ, ER および PgR status は、内分泌療法の効果を確認する重要な生物学的指標である。

**組織学的および/または核のグレード 

$若年で乳がんになった患者は、高い再発リスクにあると考えられるが、このリスクを高める厳密な境界の年齢は、明らかにされていない。

乳癌の補助療法

1.閉経前でリンパ節転移なし
ER/PgR 低リスク群 中リスク群 高リスク群
どちらか(+) なしor TAM TAM±CT#

卵巣摘除*

GnRH アナログ*

CT+TAM#

卵巣摘除*

GnRH アナログ*

どちらも(-)     CT**

2.閉経後でリンパ節転移なし
ER/PgR 低リスク群 中リスク群 高リスク群
どちらか(+) なしor TAM TAM±CT# CT+TAM#
どちらも(-)     CT**

3.閉経前でリンパ節転移あり
ER/PgR  
どちらか(+) CT+TAM

卵巣摘除 (or GnRH アナログ) ±TAM*

CT±卵巣摘除 or (GnRH アナログ)±TAM*

どちらも(-) CT**

3.閉経後でリンパ節転移あり
ER/PgR  
どちらか(+) TAM+CT#
どちらも(-) CT**

 

ER = エストロゲンレセプタ; PgR = プロゲステロンレセプタ

GnRH アナログ = ゾラデックスやリュープリンのこと

TAM = Tamoxifen: タモキシフェン(ノルバデックスなど)

CT = Chemotherapy: 化学療法(抗がん剤投与のこと)

("standard" CMF 6 サイクル、または、AC 4 サイクルが標準)

 下線を引いたところは、ルーチンに使用して良いとされている治療で、臨床試験では、対照とされている治療法。

# CT を加えることは、臨床試験の証拠に基づき容認できるオプションと考えられている。比較的低い再発のリスク、年齢、副作用、社会的経済的関連や、患者の選択(好み)についての情報を考慮して、TAM 単独使用は、容認されるであろう。

* この治療法の適応は、いまだ、無作為化臨床試験で検証中。

** CT のあとにTAM を加えることは、腫瘍のER/PgRが陰性であるけれどもわずかに定量・発現する患者の場合に考慮される。


 「コンセンサスの声明に含まれている内容は、必ずしも治療の標準を意味するものではありません。乳がん治療法は、未だ完成されたものではなく、今後より完成度の高いものに向上させていく必要があり、かなりの部分に不確実さがあることを互いに認識するためのガイドラインとして役立てていくべきである」とされています。

 このガイドラインは、ほとんどすべて欧米の臨床試験の結果をもとに決められたものですから、日本人にそのままあてはめることは、少し無理がでてくる部分があるかもしれません。

 また、補助療法を計画する上で、不確かな利益や副作用を勘案して、患者自身の選択(好み)を尊重すべきであると強調されています。

 
 
 

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Page 3  「特に経口抗癌剤(5-FUとその誘導体について」
Page 4  「ホルモン剤の子宮癌の発癌作用について」
Page 5  「ホルモン療法について」
Page 6  「補助療法の一般論+St. Gallenのconsensus and recommndation」
Page 7  「化学療法の内容について」

 

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